経済の停滞が鮮明になる中、中国の株式市場で株価の高騰が続いている。代表的な株価指数である上海総合指数は9月18日以来、2割超上昇している。経済対策として中国政府が9月下旬に打ち出した金融緩和策に反応した形だ。市場では大規模な財政出動への期待も高まっており、政策にらみの相場が続いている。
10日の上海総合指数は、前日比1.32%高の3301.93で取引を終えた。9月18日から大型連休をはさんで10月8日までの10連騰で上げ幅は計785.69ポイントとなり、同指数は2年8カ月ぶりの高値をつけた。その後、9日の反落をはさんで10日は再び上昇に転じた。
きっかけは9月24日に中国の中央銀行、人民銀行が発表した大規模な金融緩和政策だ。経済失速の元凶となっている不動産のテコ入れ策などに加え、企業の自社株買いを促すための再貸出枠など計8千億元(17兆円)規模の株価対策を打ち出したことが好感された。
そして今、市場の関心は大規模な財政出動に向く。今月12日に中国財務省が会見で打ち出すとみられている。その規模については2兆~10兆元(42兆~210兆円)と幅があるが、スイス金融大手UBSの汪濤・首席中国エコノミストは「我々は1.5兆~2兆元が合理的だと考える」とする。中国の大手証券会社、華泰証券は「1兆~3兆元が必要で、2兆元が妥当だろう。市場は過度な期待を抱くべきではない」と指摘している。(北京=鈴木友里子)